一棟貸しコテージ 石積みの家

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History&...

始まりは竹やぶでした

竹藪開梱石積みの家は1992年、横浜から信州・美ヶ原の麓に移り住んだ庭師が、理想の田舎暮らしを実現しようと、竹やぶだった土地を開墾し始めたところから始まります。

移住先が信州だったのは、若かりし頃、夫婦でバックパックで世界旅行をしていた時にトルコで知り合った友人が長野県の人だったのがきっかけでした。そして出会った竹やぶは、その旅行で親しくなったネパール人のカトマンズにあるホテルの庭を造りに行った時、そのホテルに滞在していた日本人が持っていた土地でした。田舎に引っ越したものの、なかなかイメージに合う田舎暮らしの物件に巡り会えないでいた時、その方に「ないなら自分で作ったらどうか」と言っていただいたのが始まりでした。

そして、その家はなぜ石だったのか?これについてはギリシャのパロス島という島でアメリカ人の女性が、崩れかけた古い石造りの建物をセルフリノベーションしたという家に滞在した経験が元になっていると答えさせていただいています。

パロス島1パロス島2というのは、これは後から必ず聞かれる質問なのですが、実のところ、作り手本人もよくわからないのだそうで...強いて言えば多分そんなところらしいです。ただ、ギリシャのパロス島の、あの景色に溶け込む家と暮しのすべてが心地よく、深く脳裏に刻まれたことは確かです。

縁というのはありがたく繋がるものです。そうして始まった石積みの家造りは、土地から出てきた石を一つ一つ加工し、積み上げていくというものでした。結局、開墾に1年、母屋完成まで3年、お風呂の別棟まで含めると5年という月日がかかりました。

竹切り石積み1石積み2

石積み3石積み完成棟上げ

石切り大工工事入居の冬

母屋完成後♦丸い石積みの小屋と緑の庭

母屋完成後、本業でもある家周りにようやく手を入れ始めます。更地にポツンと立っていた石積みの家に待望の季節の風景が加わり始め、生活は落ち着き始めましたが、庭師は5年後、さらに丸い小さな石積みの小屋を完成させました。「丸く石を積んでみたかった。」

更地状態アプローチ完成バラの垣根

丸い小屋基礎石積み屋根工事

その間、更地になった土地に植えた木々は大きくなり、四季を彩る庭が育っていきました。

前庭着手庭らしくなる丸い小屋とバラ

紅葉雪クレマチス

なかなか出来なかった石積みのコテージ

丸い小屋が出来てからさらに5年後、庭師はまた3つめの建物に取りかかりました。それから10年余りたって完成したのが「石積みのコテージ」です。

基礎工事石積み石積み

石積みのコテージは想定以上になかなか完成しませんでした。仕事の合間にやる作業のため殆ど止まってしまった年もありました。遺跡のような石積みの壁がずっとそこにある、長い間そんな景色でした。石積み作業は傍からすれば、とても大変できついことのように見えますが、庭師には楽しく面白い作業なのだそうです。そして完成を疑ったこともありません。手付から12年、とうとう出来上がった時は続けられたことに心から感謝したい気持ちでした。

遺跡のような建物棟上げ屋根がついた

瀬戸漆喰床貼りフェンス工事

以上、少しだけ詳しい石積みの家についてと、超大雑把ではありますがヒストリーを紹介させていただきました。さらに詳しすぎる!石積みの家・創成期の記録と写真のWEBサイトはこちらで公開しています。

石積みのコテージがお宿になるまで、そしてご挨拶と感謝

紅葉石造りの家は日本ではその珍しさから、母屋が出来た時から新聞やテレビ、雑誌等のメディアにもいろいろとご紹介いただきました。そして今まで全国から多くの人達が見学に訪れてくださいました。石積みの家を作り始めた時、この家がこれほど多くの人を連れて来てくれ、またこの家を見てこんなに喜んでもらえるとは想像できませんでした。本当にありがたく嬉しいことだと思っています。

陰影そこに住む私達も、色々な意味で石積みの家に感謝しています。プロが作ってくれた現代の住宅の快適さとはまた違う唯一無二の石積みの家の魅力、それは一言では言い表せないものがあります。
自然素材の中でも自然石の味わいは、木造のそれとは違う面白さがあります。石ならではの力強さと重量感はそのままどっしりとした落ち着きをもらえる感じがします。よく落ち着くと言っていただくのもそのせいかもしれません。それからとても楽しんでいるものに、光に浮かび上がる陰影があります。季節や時刻、その時々で実に様々に変化し一つと同じものがないような...暗さの中に明るさがあって、明るさの中にもある暗さ、繊細な光を楽しむ、ただこれは自然の木目や土間の表情、昔の日本家屋にもあった懐かしい趣きの石バージョンともいえましょう。

小鳥の巣箱石壁を照らす光

竹やぶを開墾し更地になった敷地に木を植え花を植え、庭師である主(あるじ)が長年手を入れてきた庭は、今、小鳥が巣作りのため運んできた苔が地面に落ちて広がり、緑溢れるほどに成長した木は山あいを吹く風に大きく揺れます。ただ心地よい場所を、そんな思いでやってきました。日本じゃないみたいだ、ともよく言っていただくのですが、昔旅した世界中の風景があちこちに紛れているような気もします。石積みの家と緑の庭で、訪れた人達がそれぞれに持つイメージの中のどこかへ、迷い込んだように感じてもらえるのも嬉しいです。

森のようになった今へここにいて立ち会う、四季は自然の贈り物です。木漏れ日のゆらぎやきらめき、空を音をたてて舞う色鮮やかな落ち葉、雪の白さと空の青さ、指揮者がいるかのように一斉に芽吹く木々...竹やぶを開墾して別世界を作ろうと思った庭師の石積みの家が、もっともっと多くの人が楽しめる場所になれたら幸せです。
最後にセルフビルドでやってきた石積みの家造りですが、本当に多くの人達のご協力をいただきながら出来た家です。改めて心からの感謝を申し上げます。